2006年01月29日

第三話 屋根裏部屋の少女

 青白い月の光が降り注ぐ、ガラス越しに。冷たい世界を凍らせるように、観客のいない舞台で彼女は横たわっていた。ようやく辿り着いた最上階、静けさが支配する屋根裏部屋で。
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第二話 メイドとして生きて

 小さなトランクを持った小さな女の子が、やってきた。大きな屋敷で働くメイドの一人として、右も左も分からないままに、大人と同じ仕事をするために。
 ただ必死に与えられた仕事をこなしてきて、辛い時は涙を流し、一度だけの恋をして、仲間たちと笑いあい、小さな身体に不屈の意思を込めて、辿り着いたその先にあったのは、二十年の歳月、重ねてきた思い出だった。
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第一話 白い舞台

 霧深い倫敦の朝、立ち上る蒸気と煙突から吐き出される煙たち。足を止め、彼女は振り返る。玄関の前、開いた扉に手をかけたまま、閉ざされた空を見上げて。
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サイト開設〜『百年前の百物語』

 アンデルセン『絵の無い絵本』の形式だけを真似て、書きたいシーンだけを書くという方法で、百年前のイギリス、貴族やメイドさんや使用人を題材に百話ぐらい書けるのか、試してみます。

 短編集というには短すぎますが、ひとつひとつのシーンを描ければと思っています。描きたいシーンはあるものの、小説というレベルにまで達しないようなものが数多くあります。

 短編集の最初の数話は、久我が発行する同人誌の表紙を画像として使っています。これらの絵は、久我のイメージを伝えた上で、描いてもらいました。以降はイラストが無くなり、小説のみとなります。

 絵画の世界に物語性を持ち込んだホガース、一枚の絵画から物語が伝わります。お話だけで一枚の絵を描いたアンデルセン、言葉を通して描かれる世界は幻のように、時間を超えた風景を思い起こさせます。

 このふたりを思い描きながら、始めます。
 ヴィクトリア朝の物語を。
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