2006年02月28日

第十四話 小さな決意

 石垣の上に腰掛けて、彼女は静かに足を揺らす。ぼろぼろの靴、爪先は穴が開いている。櫛の通らない髪の毛は乱れて。黄金色の夕暮れに照らされた横顔、赤く腫れた頬と、乾いた涙の痕。
 生きていても、辛いだけ。
 去年と何も変わっていない。
 生活は全然良くならない、ただ家族だけがどんどんと増えていって、一番上のお姉さんだからって、弟や妹の面倒を見たり、食事の量が少なかったり、学校にだって、満足に行かせてもらえない。私は勉強が出来るのに……
 もううんざり。

 一生懸命、頑張っているのに。
 ちょっと手伝いをサボったら、すぐ怒られる。
 こんなのって、割りにあわない。
「父さんとも母さんとも違う人生を生きるんだから!」
 サリィは呟き、ポケットから手紙を取り出す。そこには彼女の未来、可能性が広がっていた。自分で切り開いた道、雑貨店のモートンさんのところで手伝いが決まったのだ。でもそれは半年ぐらい、お金を貯めて、ロンドンに行く。
「――メイドになって、ひとりで生きていくんだもの」
posted by kuga at 03:45 | TrackBack(0) | 短編集
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